霧と星と泥棒

毎年Yの誕生日にはなんとか座流星群がこの惑星を通過する。
ここ数年Yは友人達と一緒に夜空の下で誕生日を迎えたいと言っていたのだが、毎回なんらかの事情で実現しなかった。
8月の夜、今年こそはとAz,Abと俺を含めた4人は町の光の届かない場所を求めてバスに乗り込んだ。
たしかこの辺に大きな公園があったはずと人気の無いバス停に下りたら犬を連れたおじさんが茂みの中へズンズンと入って行くのが目に入りうちらもそれにつづいた。
茂みを抜けた先には期待どおり芝生の平原が広がっておりその少し向こうはなだらかな丘になっていてそこら辺まで歩けば外灯も気にならない。星空観察には理想的な場所だ。
そこまでは完璧だったが、霧が凄かった、見渡す限り霧。みんなから10mも離れると見えなくなる。
Abは霧と暗闇にホラーな想像をかきたてられるらしく「あそこら辺に座らない?」と外灯を指差している。わざわざここまで出向いた目的はお化けやらナイフを持った狂人に追いやられてしまったみたいだ。
いざ敷物の上に座って星空観察を始めたのだが、なにせ空がちゃんと見えるのは真上ぐらいで5分もすると首が疲れはじめ、気がつくと視野に広がる霧を眺めている。上を見ていてもあまり流れ星は現れず、結局ほとんどの時間コップに注がれたシャンパンをすすりながら薄闇と静寂の中で広げられる幻想的な世界を眺めていた。
12時、みんなでYにバースデイソングを歌い暫くの間寝転び、霧の公園を後にした。

次の日の晩、流星群のピ−クはこの日だったみたいで、せっかくだからとAzと3人で外に繰出す。今回は家から歩いて1分の広場。霧は無かったが雲が地平線の向こうまで広がっていた。そのまま帰るつもりも無く3〜40分ほど待っている間に雲は散ったり流されたりでいつの間にか空には流星群が降っていた。
普段見る流れ星と比べて流星群はもっと太く尾も長い、そしてもっと近くに見える感じがする。星の後に続く尾は乾いた砥石に塗れた筆をなぞった様にしばらく留まり、すっと消えていく。その晩は空が青くなるまで飽きずに見ていた。


話は変わるが、ロンドンに引越して3日目の晩にこの日記を書いていたのだけど、シャンパンあたりを書いてる時に同居人のAzに呼ばれて部屋を出ると、どうも20分ほど前にトイレの窓から泥棒が入りSの部屋を荒らしていった様子、ノートパソコン、デジカメ、他にも何か盗られてるかも知れない。物音に気づかなかった自分もちょっと間抜けだが、人の気配を感じながらも平然と作業を続ける泥棒達(進入経路とか見るとおそらく二人組)に、住民に見つかっても対処するという意図が感じられ、それを考えると被害が物で済んだのは不幸中の幸いだったのかもしれない。自分の身体は武術の稽古もほとんどしなくなって鈍っているから手元の木刀や棒だけじゃうまく対処出来る自信が無い。ボウガンでも購入しようかな、2丁ほど。

この日記を書き終わって押すボタンを間違え全部消しちゃったのは昨日の話。
泣きっ面に蜂だ。
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